犬
犬の寿命は平均14歳。家族の一員として元気に長生きさせるために、飼い主の愛情ある育て方、接し方が重要です。
【犬の基礎データ】
平均寿命 | 14歳 |
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食 餌 |
もともと肉食ですが、現在は雑食になっています。 肉のみ、魚のみなどではいけません。タンパク質、炭水化物、繊維、ビタミン、ミネラルなどをバランス良く与えて下さい。ドッグフードを用いるのが簡単です。種類が数多くありますが、ドライタイプか缶詰タイプが保存性に優れています。総合栄養食の表示のあるものを選ぶようにしましょう。 成犬で必要なエネルギー量は、体重1kgあたり80~100Kcalです。 与えていけないものは、タマネギなどのネギ類、ニラ、ニンニクなどの野菜、チョコレート、鶏、魚の骨などです。 タマネギはゆで汁煮汁にも有害な成分が含まれているので、タマネギ自体を取り除いた汁でも、与えないようにしましょう。 半生フードやジャーキーなどは、長期の給与により肥満・アレルギーなど体に支障をきたすと考えております。 できるだけ与えないようにしましょう。 |
● 子犬の時期の医療・予防
生後2ヶ月 | ワクチン接種(1回目) |
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生後3ヶ月 | ワクチン接種(2回目) |
- 初回接種の時期により、3回目の接種が必要な場合もあります。
生後4ヶ月 | 狂犬病予防接種+登録 |
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生後5ヶ月 | 健康診断など |
生後6ヶ月 | 健康診断など |
- フィラリア予防は、投与する季節であれば2ヶ月齢ぐらいから始めます。
- 避妊・去勢は生後5~6ヶ月以降
しつけに適した時期について
犬のしつけに適した時期は、一般的に子犬の時がいいと言われています。とくに生後3~12週の子犬の期間は「社会化期」と呼ばれ、最も犬にしつけをしやすい時期です。社会化期の子犬は、自分と他を区別することを理解し始め、物事を素直に受け入れやすい状態にあります。そのためこの時期にしつけをすることで、様々なことを教えることができ、飼い主の言うことを素直に聞く犬に育てることができます。この時期に、犬は人間社会の環境に慣れ、やって良いこと・悪いことなど様々なことを経験します。犬のしつけは、悪いことをしたときはしっかり叱り、良いことをしたときは思い切り褒めるということが基本です。「叱る」と「褒める」の繰り返しによって、犬は良いことと悪いことをきちんと理解できるようになります。
● 成犬になってからの医療・予防
ワクチン接種 | 年1回 / 通 年 |
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フィラリア予防 | 月1回 / 5~11月 (地域によって期間は異なります) |
狂犬病予防 | 年1回 / 通 年 |
ノミ・ダニの予防、糞便・糞尿検査、健康診断 | 随 時 / 通 年 |
● 病院で行う予防
フィラリア(犬糸状虫症)
心臓やその周囲の血管に寄生する犬糸状虫(フィラリア)に感染すると犬糸状虫症という命にかかわる恐ろしい病気になってしまいます。蚊によって感染するため、夏を越すほど感染率は高まります。そのまま放っておくと、呼吸困難などを起こし苦しい死を迎えることになります。
現在、内服薬(1ヶ月に1回、6~11月)と注射薬(年に1回)が使用されています。
※注射薬については、まだ新しい薬で副作用の報告もあるため、当院では使用を検討中です。
フィラリア予防開始前には、フィラリア感染有無の検査が必要になります。フィラリア検査にはライフステージに合わせた検診も実施しております。
ワ ク チ ン
6種混合(犬ジステンパー、犬伝染性肝炎、犬アデノウィルス2型感染症、犬パラインフルエンザ、犬パルボウィルス感染症、犬コロナウィルス感染症)や、9種混合(上記6種と犬レプトスピラ病<3タイプ>)などがあります。
犬には犬同士で伝染するウィルス病や、細菌病がいくつかありますが、中でも犬ジステンパーや犬パルボウィルス感染症などは命にかかわる恐ろしい病気です(空気や糞便との接触などで伝染します)。
予防注射を1年に1回ずつ接種し予防してあげましょう。
狂 犬 病
現在、日本に狂犬病はありませんが、近隣諸国などでは現在も存在しています。法律で予防接種が義務づけられている病気です。万一の事態に備えて1年に1回ずつ予防接種を受けさせてあげましょう。
※ 現在、野外での集合注射が一般的ですが、衛生面や健康診断の有無などから考えると病院での接種をお勧めします。季節を問わず1年中接種可能です。
ノミ・マダニの予防・駆除
ノミが犬の体に寄生すると、かゆみからの皮膚炎、唾液に含まれる物質によるアレルギー、吸血による貧血などの病害を起こします。またいろいろな寄生虫や病原微生物を運び病害を及ぼします。飼い主さんにも寄生することがあるので、徹底的な駆除が必要です。
マダニは散歩中の草むらなどに潜み、犬の体に寄生し、たくさんの血を吸って、栄養障害や貧血を引き起こします。生命に危険を及ぼす感染症を媒介する可能性もある恐ろしい害虫です。
首の背側に滴下するだけで、予防・駆除ができるスポットン・タイプがお勧めです。その他、内服薬や注射薬などもあります。
<最近ニュースなどで騒がれているマダニによる病気を知っていますか?>
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について
● 避妊・去勢手術
子供を産ませないつもりなら、不妊手術をお勧めします。不妊手術をすることは、病気の予防や精神的な観点からも有効です。
オスの場合、会陰ヘルニア・前立腺肥大・肛門周囲腺腫などの発症率が低くなり、メスの場合は卵巣・子宮疾患の心配がなくなりますし、メスの腫瘍の約50%を占める乳腺腫瘍の発生率が約1/7になります。
● 健康診断
年に1・2回は健康診断を行いましょう。糞便検査だけでもある程度の健康チェックが行えます。日頃から健康に留意して観察することも必要ですが、時々は糞を取り病院で健康チェックを受けて下さい。病気が進行してからでは費用も時間もかかります。
● 適正体重
ワンちゃんも肥満が原因となって、糖尿病や高血圧、心疾患、脂質代謝異常、免疫力の低下、体重負荷による関節炎などを起こします。飼い主さんは、愛犬を肥満にしないためにも、適正体型の把握が重要です。適正体型はボディコンディションスコア(BCS)などで判断することができます(下図参照)。犬種や体格によって違いはありますが、5段階評価の場合「スコア3」の理想的な体型を目指してコントロールしましょう。理想的な体型時の体重を適正体重として、そこから10~15%を超える体重の増加を異常(肥満傾向)とする場合が一般的です。犬種図鑑などに記載されている犬種ごとの標準体重は“目安”にはなりますが、適正体重は1頭1頭違うため、体型からワンちゃんの適正体重を判断するのがいいでしょう。
セカンドオピニオンとしての受診も受付しております。お気軽にお問合せください。